ペルチェモジュールの取り付けについてご紹介致します。
目次
ねじによる取り付け
- ペルチェモジュールとヒートシンクや冷却板等の熱交換器部品との接触面は、十分に洗浄して下さい。
- ペルチェモジュールの放熱面は、放熱側のヒートシンクとの接触面に熱伝導材料(サーマルインターフェースマテリアル TIM)を介して取り付けます。
取り付けの際には、ペルチェモジュールとヒートシンクの接触面の間に空気が残らないように注意して下さい。
空気が入り込むとペルチェモジュールからの放熱の妨げになり、性能を引き下げてしまいます。
また、ペルチェモジュールの表面温度が局所的に上がり、故障の原因となります。 - 次に、ペルチェモジュールの吸熱面は、冷却板(吸熱側のヒートシンク)との接触面にも熱伝導材料を介して取り付けます。
この際も、ペルチェモジュールと冷却板の接触面の間に空気が残らないように注意して下さい。
放熱側のヒートシンクと吸熱側の冷却板の間、ペルチェモジュールの周囲には断熱シートを設置することを推奨します。
断熱シートにより、放熱側(加熱側)の熱が吸熱側(冷却側)へ戻ることを防ぐことができます。 - 取り付けねじは、図のようにペルチェモジュールの辺側に配置して下さい。
ばね座金(スプリングワッシャー)、平座金(平ワッシャー)、断熱ブッシュ(樹脂製ブッシュ)を通したねじで冷却板とヒートシンクを締め付けます。
ねじを締め付ける際には、トルクドライバー(トルクレンチ)を使用し、図の①②③④の様な対角線状になる順番で徐々に締め込み、仮締めを行って下さい。
その後、同様に対角線状になる順番で本締めを行って下さい。
ねじを締め込む際には、片締めにならないように気を付けて下さい。

ねじの締め付けトルクと計算例
ねじの締め付けトルクT [N∙m]は、トルク係数K 、ねじの呼び径d [m]、設定圧力p [N/m2]、ペルチェモジュールのセラミック基板の面積A [m2]から、下記のような式で求めることができます。

- トルク係数K :通常では0.2となります。
- ねじの呼び径d [m] :M3ねじの場合0.003m、M4ねじの場合0.004mとなります。
- 設定圧力p [N/m2] :推奨値は1000000N/m2となります。
- ペルチェモジュールのセラミック基板の面積A (長さ×幅) [m2]
計算例:
セラミック基板の寸法が40×40mm(0.04×0.04m)のペルチェモジュールを、M3ねじ4本で締め付ける際のトルクは、

から、0.24N∙m(24cN∙m )となります。
※ペルチェモジュールはヒートシンク等の熱交換器に取り付けてから通電して下さい。
熱交換器に取り付ける前に通電しますと、ペルチェモジュールの温度が急激に上がり故障の原因となります。
※ペルチェモジュールを取り付けるヒートシンクの表面は、平面度0.05mm以内で加工して下さい。
また、ペルチェモジュールとヒートシンクとの接触面は十分洗浄し、熱伝導材料を介して設置して下さい。
※ねじの取り付け位置は、できる限りペルチェモジュールに近い位置に来るように設計して下さい。
※金属製ねじを使用する際には、必ず断熱ブッシュ(樹脂製ブッシュ)を使用して下さい。
金属製ねじが放熱側のヒートシンクと冷却板に直接触れますと、熱がねじを伝わり戻って来てしまい、性能を引き下げてしまいます。
※ねじの締め付け順番に気を付けて下さい。
ねじを徐々に締め付けずに先に一か所のねじのみを強く締め付けますと、ペルチェモジュールに偏荷重がかかり、ペルチェモジュールが破損してしまいます。