ペルチェモジュールの電源・温度制御についてご紹介致します。
目次
ペルチェモジュールの電源
ペルチェモジュールは、直流電源(DC電源)を使用して動作させます。
ペルチェモジュールに直流電源からの電流を流すことによって、一方の面が吸熱(冷却)し、反対の面が放熱(加熱)します。
また、直流電源の+極と-極を逆に接続することによって、吸熱(冷却)、放熱(加熱)の面を反転させることができます。
一般的には商用の交流電源から直流電源に変換し、ペルチェモジュール動作用電源として使用します。
この交流電源から直流電源に変換するAC-DC電源(AC-DCコンバータ)には、リニア電源(シリーズ電源、ドロッパ電源)とスイッチング電源の2つがあります。
スイッチング電源はリニア電源と比較すると、小型で軽量、エネルギー効率が高い電源となります。
ペルチェモジュールの性能を十分に発揮させるために、電源のリップルは10%以内を推奨しています。
リップルは出力電圧の変動であるため、ペルチェモジュールの動作性能を低下させます。
ペルチェモジュールを動作させる直流電源の電圧値は、ペルチェモジュールの最大電圧値Vmax以下のものを選定して下さい。
温度制御
ペルチェモジュールの放熱を自然空冷ヒートシンクまたは強制空冷ヒートシンクで行う構成で、ペルチェモジュールへの熱負荷(吸熱量)が一定で、かつ、ペルチェモジュールを一定電圧で動作させている場合は、周囲温度が変化するとそれに連れて、ペルチェモジュールの温度も変化します。
ペルチェモジュール/ペルチェアセンブリは、ペルチェ温度コントローラー、温度センサーと組み合わせて使用することによって、希望の温度に制御することができます。
正確な温度制御が必要な場合、閉ループ制御(フィードバック制御)システムが使用されます。
このようなシステムを使用すると、温度制御精度は±0.1℃以下を実現することができます。
ペルチェモジュール/ペルチェアセンブリを動作させるために入力する直流(DC)電源は、温度制御精度を重視する場合には、操作量の指示に応じてリニアに変化し入力する方式や、PWM(パルス幅変調)制御で入力する方式を推奨します。
温度制御精度をあまり求めない場合やコストを優先する場合には、ON/OFFで入力する方式を使用することができます。

ペルチェ温度コントローラー

ペルチェモジュールの温度制御方法には、リニア制御とON/OFF制御の2つがあります。
リニア制御は、温度制御精度を重視する場合に使用します。
操作量を、比例動作(P)、積分動作(I)、微分動作(D)の3つの要素を組み合わせて最適な設定をして指示する方式のPID制御が一般的です。
ON/OFF制御は、温度制御精度をあまり求めずにコスト優先する場合に使用します。
装置内部への組み込みタイプのペルチェ温度コントローラーは、小型軽量仕様であり、パーソナルコンピューターとの接続およびソフトウェアの仕様により、温度設定や、温度モニターを行うことができます。

また、ペルチェ温度コントローラーと、直流電源および表示板が一体となったペルチェ温度コントローラードライバーもあります。
適切な温度センサーを準備するだけで、ペルチェモジュール/ペルチェアセンブリの温度調節が容易にできます
ペルチェ温度コントローラーには、外部との通信を行う機能が備わっており、通信コマンドによってペルチェ温度コントローラーを制御することができます。
温度センサー
温度センサーには、熱電対、サーミスタ、白金測温抵抗体、サーマルスイッチがあります。
使用するペルチェ温度コントローラーにより、使用できる温度センサーが異なります。
熱電対
幅広い範囲の温度測定を求める場合は、熱電対を使用します。
熱電対は、2種類の異なる金属で構成された温度センサーです。
熱電対には、いくつかの種類があります。
K熱電対は、最も多く使用されているタイプです。J熱電対は、中温度域で使用され分解能が優れているタイプです。T熱電対は、低温度域で精度が良いタイプです。
温度に対する許容差は、K熱電対は±1.5℃~±2.5℃等、J熱電対は±1.5℃~±2.5℃等、T熱電対は±0.5℃~±1.0℃等となります。
参考JIS規格:JIS C 1602 熱電対
サーミスタ
コスト優先の場合は、サーミスタを使用します。
サーミスタは、金属酸化物半導体を抵抗体として使用した温度センサーです。
サーミスタには、主にNTCとPTCの2種があります
幅広い分野で使用されていますが、測定温度範囲は狭いです。
温度に対する許容差は、±0.3℃~±1.5℃等となります。
参考JIS規格:JIS C 1611 サーミスタ測温体
白金測温抵抗体
高い温度精度を重視する場合は、白金測温抵抗体を使用します。
白金測温抵抗体は、純度が高い白金を抵抗体として使用した温度センサーです。
規格の違いでPt100、Pt10、JPt100等があります。
Pt100が最も多く使用されています。
温度に対する許容差は、±(0.15+0.002×測定温度の絶対値)℃および±(0.3+0.005×測定温度の絶対値)℃等となります。
参考JIS規格:JIS C 1604 測温抵抗体
サーマルスイッチ
温度制御精度をあまり求めない場合は、サーマルスイッチを使用します。
サーマルスイッチは、ON/OFF制御で使用する温度センサーです。
あらかじめ設定した温度に達したときに、サーマルスイッチの接点が自動的に開閉する仕組みになっています。
温度に対する許容差は、±1.5~ ± 5℃等となります。